後編である本コラムでは、和モダンな家を構成する日本建築の主なパーツをご紹介していきます。
和モダンを構成する日本建築の主なパーツ
和モダンを構成するパーツの家の中での様子(※イメージ)
和モダンな家にも見られる、伝統的な日本建築のパーツについて外観・内装・構造別に紹介します。
外観
瓦屋根
一定の形で粘土を加工して窯で焼く仕上げ材で、日本では古くから城や神社仏閣などの建築物の屋根に使用されます。
瓦と防水シートの間に多くの空気を含み、遮熱性や遮音性、通気性が保持されるのが特徴です。
引き戸
戸袋に収めることができる戸で、溝やレールの上をスライドさせて開閉します。昔から日本の家屋に設置され、家の出入り口となる戸以外にも、雨戸や障子、襖などにも使われます。
土壁
土に藁や砂を混ぜて水で練ったものを塗り、固めた壁です。気温や湿度を調節してくれることから、酒蔵や貯蔵庫などの壁に使われます。耐火性もあり、火事の多い江戸の町で広く使われていました。
内装
欄間
天井と鴨居(または長押)の間で、開口している部分に用いられるパーツです。平安時代後期に建立された平等院鳳凰堂には、欄間の原型が見られます。通気性や採光性を高める実用的なものから、時代の流れとともに華美な装飾のあるものになりました。
襖
押し入れの扉や部屋の仕切りになる引き戸で、現代の日本住宅にも多く見られます。木による骨組みがなされ、表面には布や紙が貼られています。 表面に絵が描かれることもあり、室内装飾の役割も果たします。
障子
縁側や部屋と部屋の仕切りとしても使用されるパーツです。外からの視線を遮り、部屋の中へ光を入れます。今でも和風の料亭や旅館、迎賓館などで採用されています。
丸窓
主に正円形の窓で、日本建築における丸窓は禅の悟りを意味する円相 に通ずるとされます。茶室や書院造、数寄屋造に使われていました。
漆喰
主原料が消石灰(水酸化カルシウム)からなる塗り壁の材料で、耐火性・調湿効果が高いことが特徴です。古くから城郭や土蔵、寺院などに用いられました。
構造
大黒柱
建築物の中心部に立つ太い柱のことです。構造上最も重要な柱とされており、大きな負荷がかかることからケヤキやナラ、サクラなどの固く太い木材が採用されることが多かったようです。
土間
土足で立ち入れる室内の空間で、公の場とプライベートな居住空間をつなぐ部分です。履物を脱いで家に上がる日本ならではの空間となります。
*三和土(たたき) :赤土や砂利などに、消石灰とにがりを混ぜた土間の仕上げ材。
和室
日本の伝統的な様式を備えた部屋で、構成するパーツは畳や床の間、長押、鴨居、欄間などです。茶室や寺院などの建築物では、ほぼすべての部屋が和室で構成されています。
茶室
お茶会をする部屋で、数寄屋造が誕生するきっかけとなったと言われています。現代にいたるまで四畳半の茶室が好まれてきましたが、千利休があつらえた「待庵」は二畳で、厳格に畳の枚数が定められているわけではありません。
縁側
室内と室外の間にある板張りの空間です。現代では寺院や御殿のほか、一般の一軒家でも採用されています。縁側には通路としての役割のほか、室内と庭園をつなぐ機能もあります。
庭園
日本の庭園様式で造られた庭園を「日本庭園」と呼びます。塀や垣根で囲われた小規模な和風の庭園は、「坪庭」と呼ばれます。昔 から日本では、自然の風景を再現した庭園が多く造られてきました。
和モダンな家の魅力
前述したように和モダンな家は、現代のニーズが高まる洋風建築と昔ながらの日本建築が融合し、和風の趣を感じられるところが特徴です。
日本建築の歴史を踏まえたうえで、和モダンな家の魅力をあらためて確認してみましょう 。
変動の多い日本の気候に合致する
和モダンな家は、季節によって気候が大きく変動する日本に合致する様式です。主な建築資材の木材は、湿気の吸収と放出を繰り返して室内の湿度を調整します。柱の間に使われる土壁も調湿性と通気性に優れ、夏の蒸し暑さを和らげます。
畳はやわらかい質感で足元の冷えを防止するので、素足でも快適に過ごせるでしょう。
機能性に優れている
「和モダンを構成する日本建築の主なパーツ」で紹介したように、和モダンな家に使われる日本独自のパーツは、耐火性や防犯性、遮光性などさまざまな機能を持っています。
あらゆる機能を持つパーツを複数組み合わせることで、機能性に優れた和モダンな家を作ることができます。
まとめ
現代のデザインに古き良きデザインを掛け合わせることで、和の風合いを感じられる和モダンな家。日本建築の伝統美と複数の機能を備えた新たな住居様式です。日本の情緒あふれる、和モダンな家での快適な暮らしをぜひ検討してみてはいかがでしょうか。