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このまちディクショナリー~港区編~

東京湾に面し、港のある地として発展することを願い名づけられた港区。
日本のランドマークである東京タワーもあり、今や誰もが知るブランドエリアとして名を馳せています。
近代的で洗練されたイメージを抱きやすい港区ですが、かつて江戸時代には市街の外縁であったため由緒ある寺院や大名の屋敷跡が多く、華やかなイメージとは一転して趣深いエリアやスポットも多く存在しています。

ブランド力の高いエリアがそろい踏み

誰もが知るオフィス街、高級住宅地、商業地である港区。
港区は東京で最も事業所が多い区です。本社を構える企業も少なくなく国内屈指のオフィス街が多く存在しています。
サラリーマンの街「新橋」・「汐留」エリアや、テレビ業界やIT企業の活気とラグジュアリー感で溢れる「六本木」エリア、新幹線や羽田空港直通便などアクセス面が優れている「港南」エリア、アパレルや制作系の業種や個人経営の事務所 などの需要も高く空室が出にくいとされる「青山」・「表参道」エリアなど、各々独自の特徴を持ちながらそのブランド力を遺憾なく発揮しています。

また、麻布、赤坂、青山や、高輪、白金台など国内指折りの高級住宅街も多く擁しています。麻布、赤坂、青山は頭文字をとって「3A」と称されるほか、白金台に住む女性を「シロガネーゼ」と呼ぶなど、そこに住むだけでステータスとなり得るほどのブランド力の高さが際立つ稀有なエリアです。

ネオンがきらめく六本木

「シロガネーゼ」でおなじみの白金

加えて、近年注目度が上昇しているのが湾岸エリアです。
東京オリンピック2020で脚光を浴びたエリアでもあり、国内外問わず認知度が一気にアップしました。大手デベロッパーによる大規模マンションの開発やショッピングセンターなども充実しており、都心の利便性とベイエリア ならではのリゾート感を両立できることで、ファミリー層をはじめ様々な層の支持を得ています。

レジャースポットとしても人気のお台場

江戸時代の逸話や由緒あるスポットとの共存

増上寺

徳川家ゆかりの寺院である増上寺は、江戸幕府の初代江戸幕府将軍、徳川家康の葬儀を行った他、6名の将軍が眠っています。(2代目将軍秀忠、6代目将軍家宣、7代目将軍家継、9代目将軍家重、12代将軍家慶、14代将軍家茂)
また、三解脱門(三門)は東日本最大級の大きさを誇る門であり、江戸時代の面影を残す建造物として1915年に重要文化財に指定されています。

泉岳寺

徳川家康がかつて身を寄せていた今川義元を弔うために、当時の江戸城近くに建設された泉岳寺。1641年の大火事による被害を受け、現在の港区高輪に移転されました。また、赤穂藩浅野家の菩提寺でもあることから、「仮名手本忠臣蔵」で有名な浅野内匠頭および家臣である赤穂義士が眠る寺院でもあります。1年に2度行われる「赤穂義士祭」は全国から多くの参拝者が訪れ、「義士列」や多くの露店でにぎわいを見せます。

東京タワーのすぐ近くにある増上寺

忠臣蔵好きの聖地ともいえる泉岳寺

由緒ある坂道

湾岸地帯と武蔵野台地の間にある港区は高低差のある地形のため区内には坂道が多く、その数は東京23区内でトップクラスです。また、名前のついている坂道数は23区内で一番多いと言われています。紀州徳川家の屋敷があったことから名前が付けられた「紀国坂」や、明治時代の将軍・乃木希典の邸宅があったことが由来となった「乃木坂」など、歴史的なエピソードに因んだ由緒ある坂道が多いのが特徴です。

一度は目で見て感じたい!港区を代表する歴史的建造物

寺院や坂道だけでなく、歴史的建造物も多く擁する港区。その中でも当時の時代の趣や情勢などをうかがい知れる歴史的建造物を5つご紹介いたします。

旧乃木邸

1902年に建てられた明治期の和洋折衷建築である旧乃木邸。
軍人・乃木希典の邸宅であり、ドイツ留学中に見たフランスの連合本部を参考に乃木自ら設計をしました。黒塗りかつ板張りで極めて簡素且つ合理的な邸宅となっており、明治期における代表的な和洋折衷建築としても有名です。隣接する乃木神社はこの地で殉死した乃木とその夫人を祀っています。

赤坂迎賓館 迎賓館赤坂離宮

1909年に東宮御所として建設された迎賓館赤坂離宮。
日本では唯一のネオ・バロック様式を採用しており、当時の日本における建築・美術・工芸の集大成ともいえる宮殿建築物です。これまで昭和天皇などの住居となった他、多くの要人をお迎えしたこの迎賓館赤坂離宮は、1979年、2009年の大規模な改修を経て国宝へと指定されました。

明治学院大学白金キャンパス

「ヘボン式」と呼ばれる日本で最も使われるローマ字表記法を生み出したジェームス・カーティス・ヘボン博士が設立した明治学院大学。1890年に建てられたネオゴシック様式の記念館をはじめ1889年前後に建てられ都内最古の宣教師館であるインブリー館、1916年にウィリアム・メレル・ヴォーリズにより建てられた礼拝堂など明治・大正期を代表する歴史建造物が複数存在しています。中でもインブリー館は1998年に国の重要文化財にも指定され、国をも代表する建物になりました。

慶應義塾大学三田キャンパス

戦前の校舎など名建築と呼ばれる建築物が何棟もあり、その中でも1875年築の三田演説館、1912年築の図書館旧館は重要文化財に選ばれています。三田演説館は洋風建築でありながら日本独特のナマコ壁が使われている擬洋風建築と呼ばれるもので、図書館旧館は当時では珍しく日本人だけで設計から施工まで行った洋風レンガ造の建造物です。

東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)

江戸時代には高松藩松平家の下屋敷がおかれた地に、1933年、朝香宮鳩彦王が構えた邸宅が前身の東京都庭園美術館。1920年代のパリ滞在時にアール・デコ様式に感銘を受け、自邸へと取り入れました。皇室離脱後、さまざまな用途で利用されたのちに都立美術館として開館しました。1993年に国の有形文化財に、2015年に重要文化財に指定されています。

国内屈指のブランドエリアとして

洗練された高級感と歴史ある重厚感をあわせもつ港区。歴史を重ねるごとに魅力を増し続けたこのエリアは、今後時代が変わっても国内屈指のブランドエリアとして君臨し続けるでしょう。