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皐月とは?5月の和風月名が映す初夏の香りと日本文化

新緑がまぶしく、風が心地よい5月。
この季節を、日本の和風月名では「皐月(さつき)」と呼びます。
田植えの始まりや端午の節句など、自然と文化が調和する皐月の魅力を深掘りしてみましょう。

1. 皐月とは?5月の和風月名の意味と由来

▶ 「皐月」は田植えの季節から

「皐月(さつき)」の語源は、古語の「さ」=田植え、「つき」=月が合わさったものとされます。
つまり、「田植えをする月」という意味。
初夏に入り、田畑に水を張り、苗を植える時期として、日本の農耕文化と深く結びついています。

田植え

▶ 「皐」という字に込められた清らかさ

「皐」という漢字には、「湿地」や「水辺の清らかな場所」という意味があります。
雨が多く、空気も潤うこの時期にふさわしい表現として、日本人の自然観が反映された月名だといえるでしょう。

2. 皐月と旧暦・新暦の違い

▶ 旧暦の皐月は今より遅い?

本来の皐月は旧暦の5月を指し、新暦ではおおよそ6月上旬にあたります。
したがって、かつての皐月は梅雨入りに近い季節でもありました。
今の5月とはやや異なる気候感であることを念頭に置いておくと、和風月名の面白さがより際立ちます。

3. 皐月の文学と歴史に触れる

▶ 万葉集にみる「さつき」の風景

万葉集や古今和歌集には、「さつき」や「五月雨(さみだれ)」にまつわる和歌が多く残されています。
五月雨は、田植えを助ける恵みの雨として、憂いを帯びながらも美しい情景として詠まれてきました。

▶ 端午の節句と武家文化

5月5日は「端午の節句」。こいのぼりや菖蒲湯、鎧兜の飾りなど、男児の健やかな成長を願う行事です。
平安時代には宮中行事でしたが、江戸時代に武家文化と結びつき、現在のような「男の子の節句」として定着しました。

鎧兜の飾り

鎧兜の飾り

こいのぼりと下に花

菖蒲湯 キャプション付

4. 皐月に広がる自然と風物詩

▶ 新緑と風の季節

皐月は、芽吹いた若葉がしっかりと葉を広げ、新緑が最も美しい時期。
湿度も少なく、晴天が多いこの季節は、ハイキングや山歩きにもぴったりです。

▶ 花菖蒲・ツツジ・アヤメ

花のリレーも続いています。
桜の余韻から、ツツジ・藤・アヤメ、そして菖蒲へ。
色とりどりの花が初夏の日本を彩ります。

ツツジ

5. 皐月の味覚と暮らし

▶ 若竹・そら豆・新茶

5月は「走り」と呼ばれる初物が出回る季節です。
若竹、そら豆、新じゃが、新茶など、みずみずしく生命力にあふれた旬の味わいが特徴です。

そら豆

新茶

▶ 初夏の行事食と過ごし方

端午の節句には「ちまき」や「柏餅」をいただく風習があります。
柏の葉は「家系が絶えない縁起物」として使われ、季節の行事と食が深くつながっています。
また、衣替えの準備や、梅雨入り前の掃除・整理整頓にも適した時期です。

柏餅

柏餅とちまき

6. 暮らしに取り入れる皐月の心

▶ 外に出て、風と緑を感じる

新緑のなかで散歩やピクニックを楽しんだり、ベランダや庭に季節の草花を植えるだけでも、初夏の気配をぐっと感じられます。

▶ 旬を味わい、伝統を楽しむ

季節の素材を使った料理や、家族での行事を通じて、皐月の文化を暮らしの中に取り入れてみましょう。
伝統と自然が、心に小さな豊かさをもたらしてくれます。

7. まとめ|皐月が伝えてくれる日本の初夏の魅力

皐月という言葉には、田植えの始まり、自然の恵み、そして人の節目を祝う意味が込められています。
その名前に耳を傾けることで、日本の初夏の美しさをより深く味わうことができるでしょう。
新緑の風に包まれて、自然とつながる心地よさを楽しむ——そんな丁寧な時間が、皐月の贈りものです。

●写真で紹介する日本の5月

日常の中にふと現れる、皐月のやわらかな風景を写真で紹介していきます。

花しょうぶ

新緑と田植え風景

こいのぼりが泳ぐ空

花菖蒲が咲く神社の境内