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地鎮祭とは?

地鎮祭は、土木工事や家を建てる際などに、工事の無事を土地の神様に祈願するものです。土地の神様に対して祈願するのは、その土地を守る氏神様に、土地を使用させてもらう許可を得るという意味があります。

これまで、家を建てる際は必ずと言っていいほど地鎮祭が行われてきましたが、行うかどうかは施主の判断によるので、最近では行わないケースも増えています。

仏教でも行われていた

地鎮祭は、日本最古の歴史書『日本書紀』にも登場するほど、古くから行われていますが、必ずしも神道で行うものとは限りません。東大寺金堂や興福寺中金堂などの敷地からも、地鎮祭に使われた遺物が出土していることから、仏教でも地鎮祭が行われていたことがわかっています。

地鎮祭は当初、大きな建築物などが建てられる際に行われていましたが、江戸時代後半になると、一般庶民が家を新築する際にも行われるようになりました。

地鎮祭の準備

地鎮祭を行うために必要な準備や、用意すべきものをご紹介します。

開催日を決める

地鎮祭は、いつでも行えるわけではありません。縁起の良いとされる大安や先勝、友引などの日の丑の刻(11時~13時)に、地鎮祭を行うのが一般的です。仏滅や先負、三隣亡(さんりんぼう)などは、避けるようにしましょう。

特に三隣亡は、建築に関する凶日とされているので、開催日が三隣亡に当たらないかどうか、事前に調べておくことをおすすめします。ただし、日程は出席者の都合に合わせて調整することも必要なので、可能な範囲で、なるべく縁起の良い日を選ぶようにしましょう。

お供え物の準備

地鎮祭には、祭壇や榊、竹、鍬、砂などが必要ですが、建築会社や神社で用意してくれる場合がほとんどです。お供え物は、米・酒・塩・水をそれぞれ一合、神酒(一升瓶2本・のし紙付き)、海の幸(尾頭付きの鯛、こんぶやするめなどの乾きもの)、新鮮な野菜と果物をそれぞれ3種類ほど用意します。

地鎮祭の儀式の種類と意味

地鎮祭には、色々な 儀式があります。
一般的な地鎮祭儀式の項目と流れは以下の通りです。

①修祓の儀(しゅばつのぎ)
②降神の儀(こうしんのぎ)
③献饌(けんせん)
④祝詞奏上(のりとそうじょう)
⑤四方祓い(しほうばらえ)
⑥地鎮の儀(じちんのぎ)
⑦玉串奉奠(たまぐしほうてん)
⑧撤饌の儀(てっせんのぎ)
⑨昇神の儀(しょうしんのぎ)
⑩直会の儀(なおらいのぎ)

それぞれどのような意味があるのか、ご紹介しましょう。

修祓(しゅばつ)の儀

神主が神籬(ひもろぎ)、神饌(しんせん)、祭具(さいぐ)、玉串(たまぐし)、参列者などを祓い清める儀式です。
・神籬は神社以外で神様をお招きする場所
・神饌は祭事に神様にお供えする食事
・神主が用意する地鎮祭の祭具や、榊の枝に紙垂をつけた玉串など

これらを祓い清めて、地鎮祭が始まります。
参列者はやや頭を垂れて修祓の儀を受けます

献饌(けんせん)の儀

神前に供えたお酒と、水の入った容器のふたを取る儀式です。神饌(食事)に続いて、神様にお酒と水を振舞う意味があります。

祝詞奏上(のりとそうじょう)の儀

神主が工事の無事を祈って、土地の神様に祝詞(のりと)を奏上します。

四方祓(しほうばらえ)の儀

家を建てる土地を祓い清め、工事の無事を祈るとともに、工事関係者に事故がないように祈願します。
神主が 大麻(おおぬさ)でお祓いし、切麻(きりぬさ)と呼ばれる、紙を四角形に細かく切ったものと塩および米を混ぜたものを四方に撒きます。

地鎮の儀

工事の無事を祈って、工事の依頼者である施主と、現場監督などの工事関係者が行う儀式です。神様がおわす土地に、人間が手をつけるお許しを願う意味で、施工者が刈初(かりそめ)を行ない、施主が穿初(うがちぞめ)を行います。刈初は、円錐形に盛られた砂のてっぺんに植えられた草を、鎌で切る仕草をします。

穿初は、刈初に使った盛砂に、鍬を入れて崩すものです。これに続いて、堀初の儀(ほりぞめのぎ)を行う場合もあります。これは、儀式に使った盛砂に鍬を入れて平らにならすもので、施工者が行います。

玉串奉奠 (たまぐしほうてん)の儀

玉串を施主、設計者、施工者の順に神壇に捧げる儀式です。玉串を時計回りに回しながら、根元を神前に向けてお供えし、2礼2拍手1礼して工事の安全を祈願します。

撤饌の儀

神主が神前の供物を下げる儀式です。
神主が儀式を行う間、参列者は頭を垂れます。

昇神の儀

神様にお帰りいただく儀式です。
神主が儀式を行う間、全員起立して拝礼し、その後着席します。

直会の儀

神前に供えた御饌御酒(みけみき)を神主と参列者で戴く儀式です。


地鎮祭は、施主が主導して行います。自分の家を建てる土地を祓い清める儀式を、家の代表である施主が行うわけです。日本古来より続いている、地鎮祭という伝統ある儀式のそれぞれの意味を理解し、新築の家を建てるなど地鎮祭を行う機会があれば、ぜひ参加してみましょう。