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伝統工芸

受け継がれる伝統工芸 ~江戸切子~

江戸切子とは、職人によってガラスの表面に切子加工を施したガラス製品のことをいい、1985年には東京都指定伝統工芸品に認定を受けたかつての江戸の伝統工芸品です。
大胆かつ繊細なカット、赤や青に代表される色被せ、麻の葉文や菊繋ぎ文など特徴的な文様など、その美しさは日本国内のみならず、海外からの注目も集めています。
晴れて2002年、経済産業大臣指定伝統的工芸品へと認定をされました。

江戸切子の素材

江戸切子で使われるガラスには、ソーダガラスとクリスタルガラスの主に2種類のガラスが使用されています。
クリスタルガラスには酸化鉛が使用されており、ずっしりとした高級感ある重さとカットがしやすい柔らかな材質が特徴です。
ソーダガラスは一般的なガラスの材質で、軽いが丈夫なのが特徴です。

江戸切子専門店 煌粋

江東区猿江にある江戸切子の専門店「煌粋」さんに、今回取材をさせていただきました。
こちらは「清水秀高」さんの工房で、清水さんは経済産業大臣指定伝統的工芸品の江戸切子にて、20名ほどしかいない日本の伝統工芸士としての認定を受けています。
ぐいのみグラスやロックグラス、タンブラーなど様々なグラスの他、ピアスやイヤリングなどのアクセサリー、食器まで多彩な種類の江戸切子が店頭にて販売されています。

煌粋さん

アクセサリーなど可愛い小物も

飛び込んだ江戸切子の世界

代々受け継がれていくイメージの強い職人の世界ですが、清水さんは全くの未経験から江戸切子の世界へと飛び込みました。
中学生のときに江戸切子と当時の師匠に出会い、高校を卒業後に江戸切子の世界へ。
最初は磨きやガラスを透明にする作業のみしか扱うことができず繰り返し行っていましたが、ここでの経験が現在の技術を確立させたと言います。
一人前と呼べるようになるには10年の修行期間が必要で、技術を高めた結果、独立をすることができました。
独立をして15年、江戸切子の世界に入って30年という経歴です。

確かな技術のもと、珍しい花瓶などの江戸切子も

手磨きへのこだわり

清水さんの工房では、伝統的な「手磨き」という技法にこだわりをもっています。
ガラスを磨き切子加工をするにあたり、主に「手磨き」と「酸磨き」という2つの手法がとられています。
薬品に漬けて磨く酸磨きでは、一度に大量の製品を加工することが可能で効率が良いです。
しかし薬品に漬けるという特性上、色被せが薄くなったり、文様の角(エッヂ)が少なくなるという面もあります。
対して1つ1つの製品を職人が手で磨く手磨きでは、効率の面でみると確かに悪いのですが、手磨きでしか出せない角(エッヂ)の深さや、色被せ本来の色を残した重厚感など、伝統的な手法を守り続けているからこそのこだわりを感じることができます。

1つ1つ心を込め磨きがかけられる

江戸切子という伝統的工芸品への想い

決して安価ではないものの、清水さんは江戸切子に対して日常的な道具の一部として使用してほしいとの想いがあります。
いつも使っている食器に代わって江戸切子を使用することで、毎日の食事やお酒をより美味しく感じてほしい。飾り物だけに留まらず日常に溶け込んで使用してもらえる伝統工芸品「江戸切子」を日々作られております。

店内には様々な江戸切子が陳列

代表的な赤や青以外の色も充実