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畳の奥深い魅力|匠の技が息づく日本の伝統に触れよう

畳 は日本の住まいの象徴として、長い歴史を持つ存在です。い草で織られた表面は柔らかく心地よい足触り、そして独特の香りは心を落ち着かせ、リラックスした空間を提供してくれます。

畳はただの床材ではありません。日本の気候や風土に合わせた知恵と、人々の暮らしを豊かにする文化から生まれたものです。その美しさと日本文化の奥深さを感じられる畳の魅力を、ぜひ体験してください。

畳はなぜ生まれた?日本の生活に息づく歴史

日本最古の歴史書「古事記」に初めて「畳」の名前が登場しました。これにより、奈良時代にはすでに畳があったと考えられています。奈良時代に建造された正倉院からは、日本最古の畳と言われる「御床畳(ごじょうのたたみ)」が発掘されています。これは天皇の寝床として使われていたものです。

鎌倉時代から室町時代にかけて、住宅の造りが変化し、畳は床材として定着していきます。桃山時代から江戸時代では茶道が発展し、茶室が取り入れられた数寄屋造りの住宅様式が主流になりました。これにより畳は一般的に使われるようになりました。江戸時代中期には、より畳が一般的なものになり、畳職人が誕生し畳の製造技術も大きく進歩します。

昭和の高度成長時代では建設ラッシュにより住宅やマンションが多く建てられました。畳の部屋を設ける家庭もあり、1000年の時を経ても畳は日本人の生活の一部として欠かせないものであるとわかります。

畳の基本構造とサイズの種類

畳は身分の高い人が使う床材でしたが、時の経過を経て一般家庭でも広く使用するものに変化しました。ここでは、畳の構造やサイズについて解説します。

畳は畳表・畳床・畳縁の3つで構成されている

畳は、以下3つの構造で出来ています。

①畳表
畳表はい草の茎で織られたゴザで、畳の表面を覆う最も重要な部分です。畳表の織り方は、一般的な引目のほか、市松模様を施した一松畳表などさまざまです。い草の産地によって、畳表の品質や風合いは異なります。国産のい草はクッション性に優れており、へたりにくく長持ちする特徴があります。

②畳床
畳床は畳の基礎になる部分です。古くから使われている藁床は、乾燥させた藁を圧縮し重ね合わせて板状にしたものです。クッション性に優れ、調湿や断熱の効果があるとされています。

③畳縁(たたみべり)
畳縁は畳の縁にあたる布地の部分で、畳の保護や畳と畳の隙間を埋める役割があります。畳の保護を目的としますが、以前は身分によって利用できる畳縁のデザインは異なりました。現在は、代表的な紋様のほか無地などさまざまな種類が選択できます。

い草や藁を使った伝統的な畳のほか、近年はポリプロピレンやポリスチレンなど新しい素材を利用した畳も登場しています。

サ イズバリエーションが豊富で用途に合わせて選べる

畳は地域によって呼び方やサイズもさまざまです。畳の種類を以下の表にまとめました。

一般的な畳のサイズは江戸間で、一番小さいサイズは団地間になっています。このように、畳は、地域ごとの生活様式が反映されたサイズが存在します。

畳に使用する主な原材料

日本人のライフスタイルに合わせて、畳もアップデートされています。現代の畳表に使用される原材料は以下の3種類です。

● い草
● 和紙
● 樹脂

従来の原料で天然素材ならではの質感や香りが楽しめるい草のほか、着色可能な和紙や耐久性に優れた樹脂があります。

また、畳床に使用する原材料として藁が主流でした。畳表と同じように畳床にポリスチレンや木材を使用している畳も普及しています。伝統を重んじながら、現代の住宅や環境に配慮した素材を使った畳が登場しています。

一枚の畳ができるまでの過程

い草を使った畳表ができるまでの工程を紹介します。

①苗の株分け
苗床から健康な株を1株、1株丁寧に株分けします。

②植え付け
苗の植え付けは真冬にスタートし、手植えや機械植えで植え付けます。

③先刈り
5月初旬に、い草の根本に日光が当たるように先端を刈り取り、新芽の発生を促進します。

④収穫
6月中旬から生育が良好ない草から刈り取ります。

⑤泥染め
独特の色や香りを持たせるため、天然染土でい草を染めます。

⑥乾燥
機械や天日干しでい草を乾燥させます。

⑦織り上げ
長さや太さでい草を選別し、機械で織り上げます。

⑧仕上げ
一枚一枚畳の目のほつれやキズを確認して完成です。

畳表1枚には4,000本以上のい草が使用されています。多くの人手と時間をかけて1枚の畳が出来上がります。

心安らぐ癒しの空間をつくる畳の香り

畳の香りは主原料である「い草」の香りです。い草の香りには「フィトンチッド」という芳香成分が含まれています。この成分は植物や樹木が作り出すもので、まるで森林の中にいるような香りを感じさせます。そのため、畳のある部屋にいると、室内にいながら森林の中にいるようなリラックスした気分を味わえるのです。

畳には以下のような効果もあります。

● 空気清浄効果
● 調湿効果
● 断熱効果 など

畳は単なる床材ではありません。心を癒す空間を作り出し、心地よく過ごすための機能を備えています。

日本の文化と伝統を畳の上で感じてみませんか?

日本の風土と人々の暮らしの中で育まれた畳は、五感を優しく包み込み、心身のリラックスをもたらしてくれます。

「ホテルWAMAREオニコウベ」では、地元の畳工房「艸々庵」の上質な畳でできた置き畳スペースを設けています。ぜひ一度、質感や香りなど畳の良さをじっくりと味わってください。