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日本における珈琲の歴史(1):日本に珈琲がやってきた日

明治時代の洋館と文化の交差点

ゆったりと珈琲を飲みながら読んで欲しいシリーズコラム第1回。
「日本における珈琲の歴史:日本に珈琲がやってきた日」。

珈琲が日本に初めてやってきたのは、江戸時代末期、18世紀末から19世紀初頭のこと。
当時、オランダ商館を通じて長崎に伝わり、「薬」として扱われていました。
でも、今のように私たちが日常的に珈琲を楽しむようになるのは、明治時代に入ってから。
西洋文化がぐんぐん広まる中、珈琲もその一つとして注目され始めました。

明治時代に始まる珈琲のある暮らし

明治初期の珈琲は、まだ特別な飲み物でした。楽しんでいたのは主に裕福な人や知識人たち。そんな中、1877年に東京・下谷にオープンした「可否茶館」は、日本で最初の本格的な珈琲店として話題を集めます。このお店では、洋風のインテリアや接客も体験でき、訪れる人々にとっては、まさに「新しい文化に触れる場所」でした。

日本人にとって馴染みのなかった珈琲の苦味。でも、それが逆に異国情緒を感じさせ、西洋文化への憧れをかき立てたのです。また、明治時代に建てられた洋館では、珈琲が「おもてなし」の定番として登場。そこから自然と、みんなが集まり語り合う「サロン文化」が育っていきました。

洋館と珈琲: つながりが生まれる場所

明治時代の洋館は、ただの建物ではなく、新しい文化や価値観が出会う場所でもありました。外交官や商人、知識人たちが集まり、珈琲を片手に会話を楽しんでいたのです。銀のポットやおしゃれな陶器のカップで提供される珈琲は、訪れる人々にとって特別なもてなしそのものでした。

こんな特別な体験が、やがて庶民の間にも広がっていきます。そして明治の終わりには、街の喫茶店が多くの人々に珈琲を楽しむ場を提供するようになりました。

現代の珈琲と私たち

こうして明治時代に根付いた珈琲文化は、今も私たちの生活の中で息づいています。喫茶店というスタイルは、洋館で生まれたサロン文化がルーツ。今では、誰もが気軽に集まり、くつろぎ、語り合える場所として親しまれています。

おわりに

珈琲はただの飲み物ではなく、心を豊かにするひとときを運んでくれるもの。
明治時代の人々が珈琲を通じて異国の文化に思いを馳せたように、私たちも珈琲を通じて新しい発見や出会いを見つけられるかもしれません。
ぜひ一杯の珈琲とともに、そんな時間を楽しんでみてくださいね。