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2月の祝日:冬を過ごす日本と春を迎えるアジア

冬の日本、春を迎えるアジア—2月に見る世界の祝日とその違い

2月は日本では冬の終わりを迎える時期ですが、アジア諸国では春節が華やかに祝われ、ヨーロッパでは春の訪れを象徴するキャンドルマスが行われます。このコラムでは、日本の「建国記念の日」を軸に、アジアの春節、ヨーロッパのキャンドルマスを比較し、それぞれの違いや共通点に注目します。

1. 日本の祝日: 建国記念の日

●祝祭日名: 建国記念の日(けんこくきねんのひ)
National Foundation Day

●日付: 2月11日

●どんな記念日?
建国記念の日は、日本の建国を記念する日で、神武天皇が即位したとされる紀元前660年2月11日に由来します。
明治時代に「紀元節」として制定されましたが、戦後一度廃止され、1966年に「建国記念の日」として復活しました。
日本ではこの日を通じて歴史や国の成り立ちを考え、静かに過ごすことが一般的です。

特徴:
イベントや派手な行事は少なく、家族でのんびりとした時間を過ごす日として知られています。
特に国旗を掲げる家庭や神社参拝が見られる程度で、華やかな祝祭というよりは内省的な祝日です。

2. アジアの祝日: 春節

春節は、旧暦の新年を祝うアジアの最も重要な祝日です。
中国、台湾、韓国、ベトナムを中心に、家族が集まり、新しい年を迎えるための準備や儀式が行われます。
地域によって祝い方や風習が異なるため、その違いを詳しく見てみましょう。

●中国の春節(春节 / Chūn Jié)
日付: 2025年は2月1日が元日。
特徴:
春節は、中国文化において最も重要な祝日です。家族が集まり、年夜飯(大晦日の食事)を楽しみます。餃子や魚は「財運」や「繁栄」を象徴し、必ず食卓に並びます。また、赤い飾りや提灯が街中を彩り、爆竹の音が新年の到来を告げます。

赤い飾りや提灯

春節

●台湾の春節(春節 / Chūn Jié)
日付: 同じく2025年は2月1日。
特徴:
台湾でも春節は家族団らんの場ですが、中国本土と異なる要素があります。
たとえば、年夜飯には「魯肉飯(豚の煮込みご飯)」や「鶏の丸焼き」が加わることが多いです。
また、夜市が活気づき、参拝客が廟を訪れて祈る光景が特徴的です。赤い封筒(紅包)に入ったお金を渡す習慣も子供たちにとっての楽しみです。

年夜飯には「魯肉飯(豚の煮込みご飯)」

廟を訪れて祈る

●韓国の春節(설날 / Seollal)
日付: 中国や台湾と同じく旧暦で計算(2025年は2月1日)。
特徴:
韓国の春節「설날」は、目上の人への新年の挨拶「세배(セベ)」が重要です。
また、餅スープ「떡국(トッコク)」を食べることで「一つ年を重ねる」とされ、儀礼的な意味を持ちます。
伝統的な衣装「한복(韓服)」を着て新年を祝うのも特徴です。

餅スープ「떡국(トッコク)」

伝統的な衣装「한복(韓服)」

●ベトナムの春節(Tết Nguyên Đán)
日付: 同じく旧暦で計算。
特徴:
ベトナムでは「バインチュン(四角いもち米のケーキ)」や「バインテット(円筒状のもち米ケーキ)」が春節料理として定番です。また、桃や菊の花を家に飾ることで新年の幸福や繁栄を願います。祖先を祀る儀式が重視されるのも特徴です。

「バインチュン(四角いもち米のケーキ)」

「バインテット(円筒状のもち米ケーキ)」

3. ヨーロッパの祝日: キャンドルマス

キャンドルマスはキリスト教文化に根付いた祝日で、光を象徴する行事として知られています。国によって微妙な違いがあります。

●フランス(La Chandeleur)
日付: 2月2日
特徴:
この日、フランスではクレープを焼く習慣があります。クレープは太陽を象徴し、冬の暗い時期から春へと向かう希望を表します。家族でクレープを焼きながら、新しい季節の幸運を願います。

●フランス(La Chandeleur):クレープは太陽を象徴

●フランス(La Chandeleur)

●ドイツ(Lichtmess)
日付: 2月2日
特徴:
ドイツでは教会でキャンドルを灯し、新しい年の祝福を祈ります。宗教的な行事としての色が強く、家庭よりも共同体での祈りが中心です。

●ドイツ(Lichtmess):新しい年の祝福を祈る

●ドイツ(Lichtmess)

●イギリス(Candlemas)
日付: 2月2日
特徴:
イギリスでもキャンドルを灯す伝統がありますが、特に農業と関連付けられることが多く、春の到来を願う意味が込められています。

●イギリス(Candlemas)

●イギリス(Candlemas)

4. 日本と世界の2月の祝日比較表

5. 季節感の違いが祝日に与える影響

2月は、国や地域によって季節の捉え方が異なり、それが祝日のテーマや過ごし方に大きな影響を与えています。

日本では、寒さが続く中、静かに歴史や国の成り立ちに思いを馳せる「建国記念の日」が設けられています。一方、台湾や中国を含むアジア諸国では、春節が冬の終わりと春の訪れを祝う明るく活気のある祝日として大切にされています。

ヨーロッパでは、厳しい冬の中に光を見出し、春の到来を待つ希望を象徴する「キャンドルマス」が行われます。この行事は、暗い冬を乗り越え、生命の再生を祝うものとして、人々の心を温めています。

こうした季節感が祝日の成り立ちや習慣にどのように影響を与えているかは、月ごとの祝日を比較することでさらに深く理解できます。本シリーズでは、1月から12月までの各月の祝日を掘り下げながら、日本と世界の文化や価値観の違いを紐解いていきます。次回は3月の祝日をテーマに、春の訪れとその祝い方についてご紹介します。どうぞお楽しみに!