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WAMARE経済情報

既存戸建の環境評価手法の確立へ/住友不

調査対象住宅のBIM 3Dモデル

住友不動産(株)、東京大学大学院新領域創成科学研究科、武蔵野大学は15日、既存戸建住宅の改修における環境評価手法の確立に向けた共同研究の成果を発表した。

2050年カーボンニュートラルに向けて、家庭部門は30年までにCO2排出量の66%削減が求められており、新築戸建住宅については環境性能対応に関する議論や国からの補助が進められている。新築より省エネ性能が劣る物件が大半を占める既存戸建住宅は研究事例が少なく、改修に関する環境評価手法の構築が求められている。そこで同2大学が、「新築そっくりさん」事業を展開する住友不動産に協力を要請。21年に共同研究をスタートした。

21年度は、新築そっくりさんの1事例を基にBMI 3Dモデルを作成し、施工時資源投入量・廃棄物排出量に係るCO2排出量を、「建て替え」と「改修」で比較。改修は建て替えに比べて47%のCO2排出量削減効果が確認できた。

これを踏まえ22年度は、改修による長寿命効果を検証。調査対象は、過去に施工した16万棟のうち、引き渡しから20年超経過した全面改修3,702棟、そのうち東京都内上位施工棟数5区全数の500棟弱。登記情報やGoogleストリートビューを基に現時点で健在かどうかを調査すると、全体の約60%が残存していることが分かった。「新宿区等の都心エリアではオフィスビル等に建て替わった物件もあり、非残存の40%は老朽化以外の理由で取り壊されている可能性も高い」(同社企画本部IR・ESG課長・住友律夫氏)。

また、3Dモデルを基に、創エネ改修のZEH化の検証およびライフスタイルCO2(脱炭素化)のシミュレーションも実施。太陽光発電パネル(7.5kW)の設置を含めたシミュレーションの結果、CO2排出量はリフォーム竣工時点から10年目で22t-CO2、20年目で12t-CO2、30年目で2t-CO2と順調に低減。「全面改修(省エネ性能維持)」「新築建替」と比較して、最も早く脱炭素化が実現できることが分かった。「改修によるZEH化は可能であり、かつ条件によっては改修工事分のライフサイクルCO2も賄える。建物・屋根形状によってはさらなる脱炭素効果も見込める」(武蔵野大学講師・磯部孝行氏)。

今回、定量的評価ツールのプロトタイプが完成。今後も検証を重ね、評価ツールの完成・実装を目指す。住友不動産としては、同ツールを営業現場で活用することで、新築そっくりさんの「高断熱リフォーム」や、太陽光パネル・蓄電池を付帯した「すみふ×エネカリ」の提案を強化していきたい考え。

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