国土交通省は26日、マンション管理における「外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ」(座長:鎌野邦樹早稲田大学法学学術院法務研究科教授)の初会合を開いた。
近年、管理組合役員の担い手不足などを背景として、管理業務を受託している管理業者が、マンションの管理者として選任されている事例が増加している。2016年のマンション標準管理規約の改正では、利益相反取引の防止に係る規定が設けられるとともに、外部専門家を活用した場合の留意点等を示したガイドラインが策定されたが、これらの措置は、管理業者が管理者となる場合を念頭に置いていない。また、管理業者が管理者等に専任された場合においてもマンション管理適正化法が適用されるが、法が適用される具体的なケースが周知徹底されていない現状がある。
そこで、同ワーキンググループでは、外部専門家や管理業者、その他区分所有者以外の者が管理組合における管理者となるケースが増加している現状を踏まえ、8月に公表された「今後のマンション政策のあり方に関する検討会とりまとめ」に基づき、こうした管理形態における留意事項を示したガイドラインの整備等に向け、検討を行なっていく。
初回の会合では、管理業者が管理者となる管理形態の現状や、マンション管理適正化法に係る解釈・運用について事務局が説明。それを踏まえ、今後の論点を提示した。
なお、同ワーキンググループでは、区分所有者以外の者が管理者となる場合の方式について「第三者管理者方式」と呼称。また、主に新築マンション、既存マンションを検討の対象とし、議論していくこととする。
今後の論点については、(1)既存マンションにおいて第三者管理方式を導入する場合のプロセス、(2)新築マンションにおける第三者管理者方式の説明のあり方、(3)管理組合運営のあり方(管理者権限の範囲等)、(4)第三者管理者方式における、管理組合の財産の分別管理のあり方、(5)管理業者が管理者の地位を離れる場合のプロセス、(6)日常の管理における利益相反取引等において望まれるプロセスや情報開示のあり方、(7)大規模修繕工事等において望まれるプロセスや情報開示のあり方、(8)監事の設置と監査のあり方、を挙げた。
(4)については、実態調査も踏まえ、恣意的な引き出しを防止するために望ましい措置をガイドライン等で明確化することについて議論。(6)では、管理組合に不利益が生じる可能性や求められる迅速性はさまざまであることも踏まえ、どのようなプロセスや情報開示が望まれるかについて検討を行なう。
委員からは、「新築マンションを検討の対象とするにあたり、現状どの程度が第三者管理者方式を採用しているのかなど、情報を開示してもらいたい」「管理不全マンションについてどう議論を進めていくのか、自治体との連携等も含め別途、議論が必要ではないか」「管理業者が管理組合保管口座等の印鑑等を管理してはならないとされているが、不正が発生しないための防止策も検討するべきでは。管理業者の内部統制にかかる議論も必要では」などといった意見が挙がった。
同ワーキンググループは、今後4回にわたって会合を開き、24年3月下旬をめどに「外部専門家の活用ガイドライン」改正案のとりまとめを行なう予定。
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