国土交通省は25日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会の「空き家対策小委員会」(委員長:中川雅之日本大学経済学部教授)の初会合を開いた。
2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、特措法)により自治体の空き家対策や外部不経済をもたらすいわゆる「特定空家」の除却等の取り組みは進んでいるものの、今後の人口減少や世帯数の減少、高齢化の加速でさらに増加すると思われる。そこで、小委員会では空き家対策のさらなる強化や、空き家政策のあり方について議論。それらの方向性をとりまとめ、同法見直しのたたき台とする。
冒頭挨拶した住宅局長の塩見英之氏は「良質なストックを形成し将来に引き継ぐため、耐震性や省エネ性に問題のあるストックの建て替えや新設、リフォームで改善を図っていくことが住宅政策の重要な柱だが、今後はこれに加え増え続けている空き家対策が第3の柱となる。現在の特措法は周辺に悪影響を与える空き家への対応が主だが、今後は空き家をできるだけ発生させない、空き家となった場合もできるだけ早く利活用し地域活性化に生かす、適正な管理により空き家の状態を悪化させないなど、総合的に空き家対策を強化していく必要がある。空き家対策の“第2ステージ”に向け、政策を議論していただきたい」などと抱負を語った。
会合では、特措法施行以降の空き家政策の現状について、委員で情報共有、検討の方向性を確認した。売却・賃貸・二次的利用以外の空き家のうち腐朽・破損がある住宅は、特措法施行前ピークの105万5,000戸から、施行後の18年には100万6,000戸まで減少した。空家等対策計画を策定している市区町村は80%(1,399市区町村)。現存する特措法に基づく特定空き家は約2万戸。管理不全の空き家は約24万戸にのぼった。特措法に基づく措置や市区町村の対策により除却や修繕がなされた空き家は約14万戸で、代執行された空き家は482戸だった。一方、同省による市区町村へのヒアリングでは、空き家対策施策を進める上で6割以上の自治体が担当部署のマンパワー不足を、6割弱の自治体が専門的知識の不足を挙げていた。
これらの現状を踏まえ、委員会では今後の検討の方向性について、空き家をこれ以上増やさないため、相続時など空き家となる前に対策を講じるといった「発生抑制」、空き家が放置され管理不全とならないよう、流通促進や活用支援策を強化するなどの「活用促進」、所有者の管理意識の醸成など「管理適正化」、活用困難な空き家の除却の支援強化など「除却の推進」をあげた。
次回会合は11月29日に予定。今後3~4回程度の議論を踏まえ、年内に方向性を整理し、来年1月ごろにとりまとめを行なう。
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