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大掃除にお節、鏡餅。いまさら聞けない!日本の年末年始の風習

早いもので今年ももう12月。年越しそばやおせち料理をはじめ、年末年始の準備を始めている方も多いのではないでしょうか。

この記事では改めて、日本ならではの年末年始の風習や歴史について紐解きます。

【年末】

●大掃除

物心ついた頃から、「今年の汚れは、今年の内に落とす」という慣習が身に着いている人も多いのでは?

もともとは、平安時代から続く神事「煤払い(すすはらい)」が大掃除の起源だと考えられています。煤払いとは、一年の汚れを清め、お正月の神様である歳神(としがみ)様を迎える準備をすること。

江戸時代に入り、旧暦12月13日に煤払いが行われるようになったことから、現代においても12月13日は「煤払いの日」と定められ、大掃除などお正月の準備を始めるのにふさわしい日とされています。

●年越し蕎麦

大晦日に食べるものといえば、年越し蕎麦。

町民が現代のファストフード感覚で蕎麦を楽しんでいた江戸時代に定着したと考えられている風習です。

大晦日に蕎麦を食べる理由は、いくつも伝えられています。

1.蕎麦は他の麺類に比べて切れやすいことから、「今年1年の災厄を断ち切る」と縁起を担いだ。

2. 細く長い麺であることから、長寿を祈願した。

※引っ越しの際には「細く長くお付き合いしてください」という意味を込めて隣人にそばを配る風習がありました。

3. 金細工職人が金粉銀粉を集めるために、蕎麦粉を練って団子状にしたものを使用していた。

江戸時代の町民たちの間では、何かにつけて「縁起を担ぐ」ことが流行していたそうです。

年越し蕎麦

●除夜の鐘

鎌倉時代に中国の禅僧から伝えられたとされる「除夜の鐘」。

大晦日から元旦にかけて、深夜0時をまたぐ時間帯に、人間の煩悩の数である108回つくのが習わしとされています。

除夜の鐘

108回つくのが習わし

●門松(かどまつ)

年末からお正月にかけて門前に飾る「門松」のはじまりは、平安時代の宮中儀礼の一つである「小松引き」だといわれています。

「小松引き」は、その年の最初の「子(ね)の日」である「初子(はつね)」に、小さな松の木を引き抜いて持ち帰り、玄関に飾って長寿を祈願するというもの。

一年中緑の葉がつく常緑樹である松の木は、縁起物として珍重されてきました。

形状や大きさは地域などによって異なりますが、長さの違う3本の竹を覆うように松を束ねたものに梅の枝を指し、荒縄で縛ったものが一般的です。

高さの違う竹を使う

玄関や門に飾る門松

●注連飾り・注連縄(しめかざり・しめなわ)

お正月飾りとも呼ばれる「注連飾り」や、初詣の際に神社などで目にする「注連縄」は、歳神様をお迎えする神聖な場所であることを示す意味があります。

お正月の準備を始める12月13日以降であれば、いつでも飾って良いとされ、なかでも12月28日に飾ると縁起が良いといわれています。

様々な種類があるしめ飾り

様々な種類があるしめ飾り

白川八幡神社の鳥居の注連縄

諏訪大社秋宮 注連縄

地域によって差はありますが、門松や注連飾りを飾る期間は“松の内”と呼ばれる1月7日まで。

ごみとして処分するのではなく、神社で行われる「どんど焼き」や「お焚き上げ」で燃やして供養するのが一般的です。

様々な種類があるしめ飾り

飾り終わった飾りは、どんと焼きやお焚き上げで燃やして供養する

●鏡餅(かがみもち)

大小異なる丸いお餅を重ねて、橙(だいだい)の実やゆずり葉などを飾った「鏡餅」。お正月準備の一つで、室町時代以降、歳神様へのお供えものとして現代にも受け継がれています。

名前の由来は、昔の鏡の形に似ていることから。

現代では簡略されたものも多く出回っていますが、本来は三方に白い和紙を敷き、裏白(うらじろ)、ゆずり葉の上に鏡餅をのせ、橙(「家系が代々受け継がれますように」という願いを込めて)や昆布(「喜ぶ(よろこんぶ)」のごろ合わせ)など縁起物を飾ります。

1月11日は「鏡開き」として、お供えしていた鏡もちを下ろして金づちで割り、無病息災を願って食べるのが習わしです。

鏡餅

【新年】

●初詣

かつて、各家庭の家長(かちょう。家の主)が、祈願のために大晦日の夜から元日の朝にかけて土地の氏神様をまつった神社にこもる「年籠り(としごもり)」という習慣がありました。

年が明けてから神社や寺院に参拝する「初詣」の習慣が根付いたのは比較的最近で、明治以降だといわれています。

初詣はたくさんの人で賑わう

初詣はたくさんの人で賑わう

●破魔矢(はまや)

初詣の際に神社やお寺で授与される「破魔矢」。

「身に降りかかる災いを矢打ち破り、幸せを祈願する」「一年の幸運を射止める」などの意味があります。

もともとはお正月にその年の豊作を願って行われていた「射礼(じゃらい)」や「破魔打(はまうち)」と呼ばれる占いがルーツだといわれています。

その年のお守りであることから、翌年には授与された神社やお寺に返すのが一般的です。

破魔矢

破魔矢

●お節料理

本来、さまざまな節句(せっく。季節の節目)にいただくものとされていた「お節料理」。

節句の中でも最も重要なお正月に、歳神様への捧げものとして作られるようになりました。

「黒豆、ごまめ(田作り)=まめ(健康)に働けますように」、「数の子=卵が多いことから子孫繁栄を願って」など、お節料理の一つひとつには様々な意味があり、一年の幸せを願って食べるのが習わしです。

中に入る品も華やか

お重になっているおせち料理

黒豆

数の子

まとめ

「師走」と書くように、僧侶のように普段は穏やかで、落ち着きのある人も走り回るほど忙しく、慌ただしくなる12月。

時には手を止めて、1年を振り返りながらお部屋を片付けたり、新しい1年に思いを巡らせながらお正月準備をしたりするのも良いものです。

どうぞお体に気をつけて、良いお年をお迎えください。