日本酒を購入するとき、ラベルのデザインに惹かれてつい手に取ってしまうことも多いのでは?
日本酒の「顔」ともいうべきラベルには、酒税法における表示義務があり、原材料から作り手の想いまで、そのお酒にまつわるさまざまな情報が記されています。
今回は、そんなラベルの読み方について解説します。
日本酒のラベルには、必ず記載されている事項があります
「日本酒」もしくは「清酒」
酒税法上、日本酒は「清酒」と表記されます。
ラベルには品目として「日本酒」または「清酒」のどちらかを記載することが義務付けられています。
ちなみに、酒税法では「清酒」はこのように定義されています。
1.米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの。
2.米、水及び清酒かす、米こうじその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの。但し、その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米の重量をこえないものに限る。
3.清酒に清酒かすを加えて、こしたもの
これら「清酒」のうち、原料の米に日本産のものを使用い、日本国内で醸造したものだけが「日本酒」と名乗ることができます。つまり、海外産の米を使用した清酒や、海外で醸造した清酒は、「日本酒」と表示することができません。
こうじ
原材料
日本酒の主原料である「米」、「米麹」が記載されます。
※水は記載義務がありません。
「米(国産)」、「米麹(国産米)」と書かれているものをよく目にしますが、「会津産」「新潟産」など特定の産地を記載したい場合は、使用する割合が50%を超えている場合のみ、使用割合と併せて表記することも可能です。
このほか、「醸造アルコール」「酸味料」「糖類」などを添加している場合も、記載しなくてはなりません。
酒樽
精米歩合
精米歩合(せいまいぶあい)とは、玄米から表層部を削って(磨いて)残った米の割合をを%で表したものです。
一般的に、食用米の精米歩合は90%といわれていますが、酒造りにおいては普通酒70%前後、大吟醸酒では50%。
精米歩合が高いお酒は、フルーティーな香りや雑味のない味わい、精米歩合が低いお酒はコクのあり、米の旨みが感じられるものが多いのが特徴です。
容量
一般的なサイズ四合瓶720ml、一升瓶1800mlのほか、二合瓶(300~360ml)、一合瓶やカップ酒(各180ml前後)など飲みきりサイズのものも広く販売されています。
一升瓶(1800ml)
アルコール分(度数)
酒税法の定義により、清酒は1%以上22%未満と定められています。一般的な日本酒のアルコール度数は15%前後で、中には18~20%と高いものもあります。
製造時期
製造時期=お酒が完成した日ではなく、日本酒を瓶に詰めた年月が記載されています。
その他
・製造者の名称、製造場所在地
・未成年者飲酒や飲酒運転、妊娠中の飲酒などを防止するための注意事項
・保存又は飲用上の注意事項
・原産国名
※海外から輸入されたお酒には、原産国名の表示が義務付けられています
・外国産清酒を使用したものの表示
任意で記載する項目
特定名称
日本酒は、「特定名称酒」と「普通酒」または「一般酒」に分類されています。
「特定名称酒」とは、原料や精米歩合の基準によって分類された日本酒を指し、「吟醸酒」、「純米酒」、「本醸造酒」の3種類に分けられます。
さらに原料、製造方法等の違いによって8種類に分類されます。
日本酒度・酸度・アミノ酸度
「日本酒度」とは日本酒の比重を表した数値で、水よりも重ければマイナス値、水よりも軽ければプラス値になります。
糖は水よりも重いため、マイナスになるほど糖が多く「甘口」、プラスになるほど糖分が少なく「辛口」の目安となります。
ラベルには「甘口」「辛口」とだけ表記されているものも多く見られます。
「酸度」とは日本酒に含まれる有機酸の量を示す数値です。
酸度が高い=酸っぱいわけではなく、酸度が高い=糖を抑えるためより濃厚で辛口に、酸度が低い=甘く、さっぱりとした味わいのものが多いといわれています。
「アミノ酸度」は日本酒に含まれるアミノ酸(うまみ成分)の量を示す数値です。表記されているお酒は多くはありませんが、一般的にアミノ酸度が高いお酒は濃厚、コク深い味わいになるといわれています。
製造上の特徴による種類
この他、任意で表記する項目として、特徴的な製法で作られたお酒であることを示す名称が記載されていることがあります。
・原酒(げんしゅ)……一般的に、清酒は水を加えてアルコール度数を15%前後に調整していますが、「原酒」は加水していない絞ったままのお酒です。そのため、アルコール度数は20%前後と高くなります
・生酒(なまざけ)……もろみを絞っただけ、一切加熱処理をしていない日本酒のこと
・生詰酒(なまづめしゅ) ……製造工程で一切火入れ(加熱処理)をしていない日本酒
・生貯蔵(なまちょぞうしゅ)……通常はもろみを絞った後と瓶詰め前、火入れを2度行いますが、「生貯蔵酒」は火入れをせずに低温で貯蔵し、瓶詰前に1度だけ火入れを行います
・生一本(きいっぽん)……単一の醸造所で造られた純米酒のこと
・にごり酒……もろみを目の粗い布で濾しただけの、白くにごっている日本酒のこと
・発泡酒……炭酸ガスを吹き込んだ日本酒のこと
・貴醸酒(きじょうしゅ)……仕込み水の代わりに日本酒で仕込んだ日本酒のこと
・生酛(きもと)……昔ながらの日本酒の製法。乳酸を加えず、自然に発生する乳酸菌で酵母を繁殖させて造る
・山廃(やまはい)……生酛造りから派生した製法。米や米麹をすり潰す生酛造りに欠かせない「山卸し」を廃したことからその名が付いた
まとめ
他にも、どのような場所で造られたお酒であるか、造り手からのメッセージや、おすすめの飲み方などが記載されていることも。
お気に入りの日本酒と出合ったら、ぜひラベルもチェックしてみましょう。自分好みのお酒を知るヒントになるかもしれません。