最近のオムライスといえば、ナイフを入れると卵がとろける「ふわトロ系」が主流。しかし、「昔ながらのオムライスが食べたい」と思う人も増えています。
今回は、昔ながらのオムライスの発祥・歴史・美味しさの秘密を解説します。
1. 昔ながらのオムライスの発祥とは?歴史と時代背景
オムライスが誕生したのは明治末期から大正時代。日本では西洋文化が急速に広まり、「洋食」というジャンルが確立されました。
オムライス誕生前後の日本の洋食文化
●カレーライス(明治初期):イギリス経由で伝わり、軍隊食として定着。
●ハヤシライス(1895年):牛肉と玉ねぎをデミグラスソースで煮込んだ洋食メニュー。
●ビフカツ(1900年代):ビーフカツレツが関西で人気に。
このように、日本の食文化は西洋の影響を受けながら独自の進化を遂げていました。オムライスも、スプーン1本で食べられる手軽な洋食として考案され、庶民の間で広まっていきました。
2. 昔ながらのオムライスが生まれた2つの説|大阪と東京
オムライスの発祥には、大阪発祥説と東京発祥説の2つの説があります。
大阪発祥説|「北極星」のオムライス
1925年、大阪・心斎橋の洋食店「北極星」で生まれたとされています。
●胃の調子が悪いお客さんのために、消化の良い料理として考案。
●チキンライスを薄焼き卵で包むスタイルを確立。
東京発祥説|「煉瓦亭」のライスオムレツ
1895年創業の東京・銀座「煉瓦亭」では、「ライスオムレツ」という料理が提供されていました。
●ご飯と卵を一緒に炒めたオムレツ風の半熟仕上げ。
●今のオムライスとは異なり、卵で包まず、ご飯と混ぜるのが特徴。
どちらが本当の発祥かは明確ではありませんが、「スプーンで食べやすい洋食」という発想が共通していたことは間違いありません。
3. 昔ながらのオムライスが美味しい理由|黄金比とは?
最近のふわトロ系オムライスとは異なり、昔ながらのオムライスには独自の魅力があります。その美味しさの秘密を紐解きます。
●卵の厚さ:2〜3mmの薄焼き卵が理想。薄すぎると破れやすく、厚すぎると食感が重くなる。
●ケチャップライス:水分が多すぎるとベチャッとするため、適度に炒めて酸味を飛ばすのがコツ。
●具材の選び方:昔ながらのオムライスには鶏肉が王道。玉ねぎのシャキッと感がアクセントになる。
●バターの使い方:炒め油としてバターを使うことで、コクを出しつつ軽やかな味わいに。
この黄金比が、どこか懐かしく、最後まで飽きずに食べられる理由です。
昔ながらのオムライス
卵を崩して食べるふわトロ系オムライス
4. オムライスと日本の食文化|「一膳飯文化」との関係
オムライスは、西洋の影響を受けつつも、日本独自の食文化と融合して発展しました。その背景には、日本の「一膳飯文化」が関係しています。
① 一膳飯文化とは?
●日本では古くから、主食(ご飯)とおかずを一つの器にまとめる食文化が根付いていました。
例:丼もの・お茶漬け・雑炊など。
●オムライスも、こうした**「一皿で完結する食事」の発想**から生まれたと考えられます。
② 明治・大正期の「西洋料理×和の食習慣」
●ナイフとフォークを使う西洋料理を、日本では「スプーン1本で食べられる形」にアレンジ。
●そのため、オムライスはカレーライスやハヤシライスと並び、「日本の洋食文化」の象徴になりました。
5. 昔ながらのオムライスが食べられる店|喫茶店と洋食屋の違い
→ 喫茶店オムライスは「シンプルで懐かしい味」、洋食屋オムライスは「コクがあり、リッチな味わい」という違いがあります。
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まとめ|今こそ、昔ながらのオムライスを味わおう!
オムライスは、明治から大正時代にかけての洋食文化の発展と日本の食習慣の融合によって誕生しました。
最近のふわトロ系とは異なり、昔ながらのオムライスには「懐かしさ」と「シンプルだからこそ美味しい」という魅力があります。
今こそ、純喫茶や老舗洋食店を訪れ、本物の「昔ながらのオムライス」を味わってみませんか?