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3月の祝日:なぜ3月に春を祝うのか?春分の日・ナウルーズ・聖パトリックの日の由来

3月は、日本をはじめ世界各国で春の訪れを象徴する祝日が多くあります。
日本では「春分の日」があり、アジアでは「ナウルーズ(ペルシャの新年)」が盛大に祝われ、ヨーロッパでは「聖パトリックの日」が民族の誇りを示す祝祭日として知られています。

本シリーズでは、「日本と世界の祝日の比較」をテーマに、それぞれの国の文化や祝日の由来を探り、違いや共通点を解説します。今回は、3月の祝日を比較しながら、春という季節の捉え方や祝い方の違いに迫ります。

1. 日本の祝日:春分の日

●祝祭日名: 春分の日(しゅんぶんのひ)
●現地語: 春分の日
●日付:2025年3月20日(年によって変動)

春分の日の意味とは?

春分の日は、昼と夜の長さがほぼ等しくなる日であり、日本の国民の祝日として「自然をたたえ、生物をいつくしむ」ことを目的に制定されています。この日は、春の訪れを象徴し、日本の伝統行事である「お彼岸」と結びついています。

春分の日の背景と歴史

春分の日のルーツは、古代の自然信仰や農耕文化にあります。
春分は、新しい作物が芽吹く時期とされ、五穀豊穣を願う儀式と関連していました。
日本では、明治時代に「春季皇霊祭(こうれいさい)」として天皇家の祖先を祀る日でしたが、戦後1948年に「春分の日」として国民の祝日に改められました。

春分の日に行われる行事

●お彼岸(おひがん): ご先祖様を供養し、お墓参りをする習慣がある。
●ぼたもちを食べる:春の花「牡丹(ぼたん)」にちなんで、あんこをまぶした餅を食べる風習がある。

あんこをまぶした餅「ぼたもち」

お墓参りをする

春分の日と他国の祝日の違い

日本では、春分の日は自然や先祖を敬う日として位置付けられていますが、アジアやヨーロッパでは、「新年」や「民族文化の象徴」として祝われるケースが多く見られます。

2. アジアの祝日:ナウルーズ(Nowruz / نوروز)

祝祭日名:ナウルーズ(ペルシャの新年)
現地語:Nowruz(نوروز)
日付:2025年3月20日(春分の日と一致)
国:イラン、アフガニスタン、中央アジア諸国、アゼルバイジャン、トルコなど

ナウルーズとは?

ナウルーズは、ペルシャ暦に基づく新年の祝祭で、春分の日を新年の始まりとして祝います。
その歴史は3000年以上に及び、古代ペルシャ帝国時代のゾロアスター教の儀式に由来します。
冬の終わりと春の始まりを象徴し、家族が集まり、火を飛び越える儀式や特別な食事を楽しむ伝統があります。

ナウルーズの祝い方(国ごとの違い)

●イラン:「ハフト・スィン(Haft-Seen)」と呼ばれる7つの特定の食材を飾る。
●アフガニスタン: 競馬やスポーツ大会が行われる。
●アゼルバイジャン: 火を飛び越える「チャハルシャンベ・スーリー」が有名。

ナウルーズの特徴

●春の訪れを祝う「農耕文化と深く結びついた祝日」
●世界各国で「国連により国際祝日として認定」されている
●家族と共に新年を迎える「家族団らんの象徴」

ハフト・スィン(Haft-Seen)

ハフト・スィン(Haft-Seen)

3. ヨーロッパの祝日:聖パトリックの日(St. Patrick’s Day)

●祝祭日名: 聖パトリックの日(セント・パトリックス・デー)
●現地語:St. Patrick’s Day
●日付:3月17日
●国:アイルランド、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど

聖パトリックの日(St. Patrick’s Day)の由来

聖パトリックの日は、アイルランドの守護聖人「聖パトリック」の命日を記念する祝日です。
5世紀にアイルランドへキリスト教を伝えた彼を讃え、アイルランドでは国民的祝日とされています。

聖パトリックの日(St. Patrick’s Day)の特徴

パレードが世界各地で開催され、アイリッシュ音楽が演奏される。
「シャムロック(三つ葉のクローバー)」がシンボルとして用いられる。
緑色の服を着ると幸運が訪れると言われる。

アメリカでの聖パトリックの日の広がり

アメリカでは、アイルランド系移民が多いことから、シカゴでは川を緑色に染めるイベントが行われるなど、大規模な祭りとして定着しています。

「シャムロック(三つ葉のクローバー)」がシンボル

シカゴでは川を緑色に染まる

4. 日本と世界の3月の祝日比較表

5. 3月の祝日に関するQ&A

Q. 3月の祝日は日本と世界でどう違うの?
A. 日本では「春分の日」のように自然を祝う祝日がある一方、アジアでは「ナウルーズ(ペルシャの新年)」のように新年の始まりを祝う祝日、ヨーロッパでは「聖パトリックの日」のように民族の誇りを祝う祝日があります。

Q. なぜ春分の日が祝日なの?
A. 春分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日で、日本では「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とされています。また、「お彼岸」と結びつき、ご先祖様を供養する期間としても大切にされています。

Q. 春分の日とイースター(復活祭)は関係があるの?
A. 直接の関係はありませんが、どちらも「春の到来」や「生命の再生」を象徴する祝日です。春分の日は太陽の動きを基準にしており、イースター(復活祭)は春分の日の後の最初の満月の次の日曜日に祝われます。

6. 次回のシリーズ予告:4月の祝日で見る「歴史」と「春の祭典」

今回ご紹介した「3月の祝日」は、春の訪れを祝う文化が各国で異なる形で根付いていることが分かりました。
日本の「春分の日」が自然や祖先を敬う日である一方、アジアの「ナウルーズ」は新年として盛大に祝われ、ヨーロッパの「聖パトリックの日」は民族の誇りを象徴する祝祭日でした。

では、4月にはどんな祝日があるのでしょうか?
次回は、日本の「昭和の日」やタイの「ソンクラーン(水かけ祭り)」など、歴史的背景を持つ祝日と、春を象徴する華やかな祭りに焦点を当てます。

✅ 昭和の日(日本) - なぜ昭和天皇の誕生日が「昭和の日」として残ったのか?
✅ ソンクラーン(タイ) - 「新年なのに水をかけ合う?」驚きの風習の由来とは?
✅ イースター(欧米) - 復活祭の卵やウサギに込められた意味とは?

4月は、「歴史を振り返る祝日」と「生命の再生を祝う祭典」が世界各国で行われます。
どの国がどのように春を迎え、新たな時代を祝うのか?
次回もぜひお楽しみに!