4月、日本のカレンダーには春の陽気とともに、連休の始まりを告げる特別な祝日が登場します。
それが「昭和の日」。この祝日は、日本人の記憶と歴史、そして次の時代を考えるための日です。
一方、世界に目を向けると、同じ時期に行われるのは「生命の再生」や「春の訪れ」を祝う祭りたち。
タイの「ソンクラーン(水かけ祭り)」や、キリスト教圏の「イースター(復活祭)」などが代表的です。
本シリーズでは、日本と世界の祝日を通して、文化や価値観の違いを比較しています。
今回は、4月の祝日「昭和の日」と、世界の春祭りを取り上げ、それぞれがどのように過去を振り返り、春を迎えるかを探ります。
1. 日本の祝日:昭和の日(Showa Day)
●祝祭日名:昭和の日
●英語表記:Showa Day
●日付:4月29日
●背景と意味:
昭和の日は、昭和天皇の誕生日(1901年4月29日)に由来し、「激動の日々を経た昭和の時代を顧み、国の将来を考える」ことを目的に2007年に制定された祝日です。
戦争、復興、高度経済成長など、昭和がもたらした大きな変化を振り返り、今とこれからの日本を考える日とされています。
●特徴
・歴史や記憶をテーマにした、静かに振り返る祝日。
・高齢世代だけでなく、若い世代にも「時代の意味」を伝える機会。
・「昭和レトロ」をテーマにした展示やイベントも各地で開催。
・戦後復興・高度成長など、日本の原点を再確認するタイミング
2. 昭和の日とゴールデンウィークの関係
昭和の日は、毎年4月29日に固定された祝日であり、日本の大型連休「ゴールデンウィーク」の入り口として機能しています。
「ゴールデンウィーク」という名称は、1950年代に映画業界がこの時期に興行収入が急増したことから使われ始めた言葉で、今では日本全体の春の大型休暇の代名詞となっています。
ゴールデンウィークとは?
●一般的には4月29日〜5月5日頃までの連休期間。
●4月29日の昭和の日から、5月3日「憲法記念日」、5月4日「みどりの日」、5月5日「こどもの日」へと連続していきます。
●年によっては土日と合わせて最大9〜10連休になることも。
世界ではどう?
このような長期連休が制度として設けられている国はあまり多くありません。
中国の「労働節(メーデー連休)」やタイの「ソンクラーン(4月)」、欧州の「イースター休暇」などが比較的近い位置づけですが、国民の多くが一斉に休む日本独自の現象といえます。
3. 世界の春祭り:生命と再生を祝う祝祭たち
4月の世界には、春の再生を象徴する祝祭がいくつも存在します。
これらは宗教的背景や民族文化に根ざしながらも、共通して「新たな始まり」「命の循環」を祝うというテーマがあります。
日本の祝日「昭和の日」=歴史の記憶と対になるように、
海外では「再生」や「記憶」「清め」といった春らしいテーマが込められた祝日が多いのが特徴です。
アジアの祝日:ソンクラーン(水かけ祭り)
●祝祭日名:ソンクラーン(タイの旧正月)
●現地語:Songkran (สงกรานต์)
●日付:2025年4月13日〜15日
●国:タイ
ソンクラーンとは?
タイの旧正月にあたる祝祭で、仏暦に基づく一年の始まりを祝います。
伝統的には、家族と過ごし、仏像や年長者に水をかけて清めと敬意を示す行事です。
ソンクラーンの祝い方
現在では観光客にも人気の「水かけ祭り」として知られ、街中で水をかけ合う賑やかなイベントに発展。
特にバンコクやチェンマイでは大規模なパレードや音楽イベントも行われます。
ソンクラーンの特徴
●旧暦による新年を祝う
●水による「清め」と「厄払い」がテーマ
●伝統と娯楽が融合した国民的行事
イースター(復活祭)
●祝祭日名:イースター(キリストの復活祭)
●現地語:Easter
●日付:2025年4月20日(春分の日の後の満月の次の日曜日)
●国:キリスト教文化圏(欧米各国、ラテンアメリカ、オセアニア等)
イースターとは?
キリスト教における最も重要な祝祭の一つで、十字架にかけられて亡くなったイエス・キリストの復活を記念する日です。
春分の日と月の満ち欠けにより毎年日付が変動します。
イースターの祝い方
教会での礼拝を中心に、家族での食事会や「イースターエッグ(彩色卵)」の飾りつけ・探しゲームが行われます。
卵やウサギは命の再生や豊穣の象徴です。
イースターの特徴
●生命の再生・復活を祝う
●卵・ウサギ・春の草花がシンボル
●宗教と家族行事が融合した祝日
ANZACデー(戦没者追悼記念日)
●祝祭日名:ANZACデー(戦没者追悼記念日)
●現地語:ANZAC Day
●日付:2025年4月25日
●国:オーストラリア、ニュージーランド
ANZACデーとは?
第一次世界大戦中、トルコのガリポリで戦ったオーストラリア・ニュージーランド軍団(ANZAC)の兵士を追悼する日であり、両国にとって国家的に重要な記念日です。
ANZACデーの祝い方
早朝に「ドーン・サービス(追悼式)」が行われ、国中で黙祷が捧げられます。
戦没者の名誉を称えるパレードも実施され、現代の軍人や退役軍人も参加します。
ANZACデーの特徴
●戦争の記憶と平和への願いを込めた祝日
●静かな追悼と国民の団結が象徴
●愛国心と記憶の継承を重視する文化的意義が大きい
4、「日本と世界の4月の祝日比較表:世界の春祭り『生命と再生を祝う祝祭たち』」

5、Q&A:昭和の日・春祭りに関する素朴な疑問
Q. 昭和の日はなぜ今も祝われているの?
A. 昭和天皇の誕生日を記念し、戦後の歩みや日本の復興を振り返る日として意義が再認識され、国民の祝日となっています。
Q. タイや欧米ではなぜ春に祭りが多いの?
A. 春は農耕文化において命の循環・再生の象徴とされてきました。水や光、復活といったテーマは、多くの国で自然とつながった祝日として形を変えています。
Q. 日本の春祭りと世界の春祭り、何が違うの?
A. 日本の春祭りは自然や歴史を「静かに敬う」傾向があるのに対し、海外では「派手に楽しみながら祝う」ことが多いのが印象的です。
6、 次回予告:5月の祝日と未来を考える日々へ
昭和の日から始まるゴールデンウィーク。5月には、日本の祝日が続き、未来と子どもたちのための日々が並びます。
5月3日:憲法記念日
5月4日:みどりの日
5月5日:こどもの日
次回はこれらの祝日をテーマに、「今をどう生き、未来に何を残すか」を考える時間としての意味を探っていきます。
春を迎えた日本が、どんな価値観を祝日に込めているのか——次回もぜひご期待ください!